東京写真館

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カメラ業界の半導体不足

f:id:yamato_hana:20220117220753j:plainNikonのZ9が発売直後に10か月待ち、CanonのEOS R3も6か月待ちになるほど半導体不足が話題になっています。
カメラ業界での半導体不足というのはどういう事が起きているのかというのを解説していきたいと思います。

 

コロナ禍の半導体不足

TVやネットニュースでは、カメラ業界以外にも自動車、パソコン、ゲーム、家電などの電子機器にも影響が出ていると報道されています。
コロナの影響で、リモートワークが増え個人にPCやプリンターなどの機器を提供するため、半導体の需要が増えています。
巣ごもり需要で家庭用ゲーム機器やタブレット機器などの需要も増えています。
元々の半導体の製造ラインで作れる以上の量の注文が入るようになったため、納品までの期間が伸びています。
更に、半導体工場での火災などもあり供給が滞るなどと言った事態も起きました。
半導体工場も製造ラインを増やすなどの対策は行っているようですが、製造機器の納品にも遅れが出ているので、そう簡単に解消できないという状況のようです。
この状況の解消には、あと1~2年はかかるのではという見方が有力です。


コロナ以前では長くても3ヶ月待てば半導体が用意できたそうです。
カメラの注文が大量に入っても、早めに発注しておけば半導体不足で製品を提供できない期間は短くて済みました。
今は、半導体不足で最大で1年待ち等と納期が延びただけではなく、納品の見込みが立たない半導体に関しては、取り扱い中止になってしまうケースがあるようです。
半導体の入荷の見込みがない場合、代替で似た他の半導体を使用しますが、全く同じ性能なら問題ないのですが、やや性能が違う事があるそうで、厄介な事にそういう半導体を使う際は、基板設計を一部変更し、ファームも書き換えて製品チェックを一からやり直す手間が出るそうです。
ですから、従来なら手を入れる事のないカメラの基板などを、他の半導体に置き換えるために作り直す手間が出てきています。
当然、新しい半導体に置き換わったため、それによって発生するバグの洗い出しも行われるはずですが、それをすり抜けてリリースしてしまえば現場で謎のバグとして出現する事になります。
最近、カメラのフリーズが某掲示板で騒がれていましたが、そういった事が原因で起きた可能性があります。
サポートでいくらパーツを付け替えたところで、ファーム側で対策をしないとまた同じ症状が出続ける可能性があります。

過去にも起きた半導体不足

実はカメラメーカーが半導体不足になったのは今回が初めてではありません。
2016年に起きた熊本地震では、ソニーのセンサー工場が被災し、約半年間センサーの提供が止まった事がありました。
ソニーイメージセンサーは、性能の良さで多くのメーカーで採用されており、簡単に他のメーカーの製品に置き換えることのできない主要な部品です。
発売を予定していた機種が予定通り発売できないとか、発売済みの機種が品薄になるなどの事態が起きました。

半導体不足以外にも・・・
2019年の台風19号では郡山にあるパナソニックの基盤処理の工場が水害に合いました。
パナソニックのグループ会社ですが、カメラメーカーからも受注を受けているようです。
10月に工場が被災し、2ヵ月で復旧させるとの発表がありましたが、実際にはもう少しかかっていたようで、デジタル一眼の供給が3ヶ月ほど止まった事があります。

 

 

 


これまではソニーのセンサー工場が被災して6か月間供給が止まったのが最長でしたが、2021年から始まった新型コロナウイルスの影響による半導体不足は、複数のメーカーに影響が出ており、更に解消するには1~2年はかかるだろうとも言われているので、半導体不足の影響は甚大なものになりそうです。