最近発表されたEOS RPを含む
Digic8世代のミラーレスデジタル一眼3機種(EOS Kiss M、EOS R、EOS RP)を
比較してみたいと思います。
この三機種で一番早く登場したのが2018年3月に発売になったEOS Kiss Mです。
改良された2400万画素センサーと新開発のDigic8の組み合わせで高速なAFを実現した、
Digic8世代のミラーレス機です。
同様の技術を使いフルサイズミラーレスとして発売されたのがEOS R。
そして、フルサイズミラーレスの普及機として出されたのが、EOS RPとなります。
EOS Kiss M、EOS R、EOS RPの三機種のラインナップ上での立ち位置を見てみます。
EOS Kiss Mは、Kissと名前が付くように、一眼レフのKissシリーズと同様に入門向けのミラーレス機となります。
従来のMシリーズ同様にAPS-Cサイズのセンサーを搭載しながら、
最新のDigic8を搭載し、上位機種の一部M6、M5を超える性能もあります。
EOS RはCANON初のフルサイズミラーレス。
EOS 5D Mark4に搭載されている3000万画素フルサイズCMOSセンサーをDigic8世代に合わせて改良し搭載されています。
同社のフルサイズミラーレス機の中では一番高性能。
一眼レフのEOSシリーズも含めて考えると、5Dと6Dの間位の機種と言えます。
EOS RPはフルサイズのミラーレス機では一番ローエンドの機種。
EOS M5のフルサイズ版といった印象でしょうか。
小型軽量のボディでもセンサーはフルサイズなので高画質。
フルサイズのカメラは大きく重くなる傾向がありますが
このRPは気軽に持ち出せる高画質機といった感じです。
具体的に3機種のスペックを比べてみたいと思います。
R | RP | Kiss M | |
画素数 | 3030万 | 2620万 | 2410万 |
センサーサイズ | 35mmフルサイズ | 35mmフルサイズ | APS-C |
対応感度 | ISO100~40000 | ISO100~40000 | ISO100~25600 |
オートフォーカス方式 | デュアルピクセル CMOS AF | デュアルピクセル CMOS AF | デュアルピクセル CMOS AF |
測距点 | 143分割(5655) | 143分割(4779) | 143分割 |
EVF | 369万ドット | 236万ドット | 236万ドット |
シャッター | 1/8000~30秒 | 1/4000~30秒 | 1/4000~30秒 |
レンズ | RF(EF/EF-S) | RF(EF/EF-S) | EF-M(EF/EF-S) |
内臓振れ補正 | 無し | 無し | 無し |
内臓ストロボ | 無し | 無し | 有り |
外部ストロボ | 使用可 | 使用可 | 使用可 |
ストロボ同調速度 | 1/200秒 | 1/180秒 | 1/200秒 |
連写速度 | 8コマ/秒(AF無) 5コマ/秒(AF有) |
5コマ/秒(AF無) 4コマ/秒(AF有) |
10コマ/秒(AF無) 7.4コマ/秒(AF有) |
連続撮影枚数 | JPEG(L)100枚 | JPEG(L)Card full | JPEG(L)33枚 |
リモコン撮影 | 可 | 可 | 可 |
画像処理 | DIGIC 8 | DIGIC 8 | DIGIC 8 |
動画撮影 | 4K30fps等 | 4K24fps等 | 4K24fps等 |
動画形式 | MP4(MPEG4) | MP4(MPEG4) | MP4(MPEG4) |
液晶 | タッチ対応3.15型 バリアングル |
タッチ対応3型 バリアングル |
タッチ対応3型 バリアングル |
無線LAN | ○ | ○ | ○ |
外部マイク | ○ | ○ | × |
バッテリー | LP-E6N 写真370枚 動画1時間20分 |
LP-E17 写真250枚 動画1時間40分 |
LP-E12 写真235枚 動画1時間25分 |
重さ・大きさ (幅/高さ/奥行) |
660g 135.8/98.3/84.4 |
485g 132.5/85/70 |
390g 116.3/88.1/58.7 |
発売日 | 2019年10月 | 2019年3月 | 2018年3月 |
3機種で一番大きな違いは、
EOS Kiss MはMシリーズで、イメージセンサーがAPS-Cと一回り小さい事です。
R、RPは35mmフルサイズのセンサーでKiss Mよりも一回り大きいセンサーを搭載しています。
フルサイズセンサーは高感度の画質も良く、最高感度ISO40000にも対応しています。
電子ビューファインダー(EVF)はEOS Rが1ランク上の369万ドット液晶を採用。
RPとKiss Mは236万ドット液晶とやや粗い液晶となっています。
この辺はファインダーを覗いた際の像のきめ細やかさに繋がってきます。
ピントがあっているかどうかの確認は、液晶の性能に左右されるので、良い液晶を積んだものの方が良いでしょう。
実際に両者を比べてみると、Kiss M、RPの236万ドット液晶EVFだとピントがあった場所はややドットが目立ちジャギジャギしてますが、369万ドットのRはそれが目立たずに滑らかです。ファインダーをじっくりのぞいた場合であって、気にならない人にとっては全く問題ないレベルかもしれません。
最高シャッタースピードはRが1/8000秒
RPとKiss Mは1/4000秒となっています。
屋外で明るいレンズで解放気味で撮るなどのシーンでは、シャッタースピードがどうしても上がってしまいますから、早い方が撮影の選択肢が広がっていいです。
使用レンズは、R、RPはRFマウントのレンズと、マウントアダプターを介してEF/EF-Sレンズが使用できます。
EF-Sレンズを使用する際は、1.6倍相当の画角にクロップして撮影となります。
Kiss Mでもアダプターを使えばEF/EF-Sレンズは使用できます。
Kiss MにRFレンズは使用できません。
連写枚数は、APS-CのKiss Mの方が性能が良いです。
実際にはフルサイズの方が開発が難しく、センサーサイズの小さく画素数も少ない機種の方が処理が軽いので連写枚数を上げやすいようです。
上位機種の兼ね合いや現状での画像処理周りの限界の兼ね合いでこのような数字になているんだと思います。
Sonyのα7は10コマ/秒の性能ですから、CANONにも頑張ってもらいたい部分ではあります。
三機種ともEVFを覗きながら、液晶をタッチしてAFポイントを操作できるタッチ&ドラッグAFに対応。
Kiss M位のサイズのカメラなら何となく使える機能だと思いましたが、
Rくらいのサイズでこの機能はちょっと使いづらいと思いました。
液晶までが遠いですし、タッチしても俊敏に反応してくれない事があります。
上位機種には従来通りのマルチコントローラーが必須だと思います。
動画に関しては3機種とも4Kの撮影に対応しています。
ですが、4機種とも中央クロップでの撮影となります。
1DXや動画のCシリーズなんかとの差別化なんでしょうが、ちょっと期待外れな感じがあります。
また、R、RPにはアダプター経由でEF-Sレンズが使用できますが、こちらを使うとFullHDには対応せず、720P止まりとなります。
R+EF-S18-135mmに電動ズームアダプターを使ってFullHDの撮影ができたら、それはそれで快適な動画撮影ができるだなんて思っていましたが、そんな制限もあるので、ちょっと考えモノです。
この辺はDigic9世代のカメラに期待といった感じでしょうか。
バッテリー、撮影枚数はRは中級機以上で使用されているバッテリーLP-E6Nを使用しているため、撮影枚数は370枚(CIPA規格)の撮影ができます。
RPはEOS M5/6同様のLP-E17で250枚。
Kiss MはLP-E12で235枚となっています。
一眼レフの光学ファインダーと違って、液晶やEVFでの撮影では、消費電力の大きなイメージセンサーを常に使っている事になるので、どうしても撮影枚数は少なくなってしまいます。
価格はRが約20万、RPが約15万、Kiss Mが約6万となっています。
Rは発売されて約半年なので、そろそろ落ち着いてきたころ。
下位機種のRPが出てきたので、無理に値段を下げて販売する事はないでしょうから、
暫く同じような価格帯が続くと予想されます。
RPは発売前ですから、発売後は1~2万ほど下がると予想できますが、キャッシュバックの影響も有、キャンペーンが終わるまでは同様の価格を維持するものと思われます。
Kiss Mはボディのみ6万円前後で、レンズキットを購入しても7~8万円台から購入できます。
初めて購入するにはいい感じの値段とスペックだと思いますが、購入したEF-Mマウントのレンズは、EOS Rシリーズにも一眼レフのEOSシリーズにも使えません。
ステップアップを考えるなら、他のメーカーの対応を見るとちょっと分が悪いです。
R、RPもボディの価格だけを見るとそれほど高いとは言えませんが、純正のレンズであるRF24-105mm F4は10万円越えですから、レンズ資産がないとちょっと敷居が高く感じるかもしれません。
新しいレンズの開発発表はありましたが、まだまだラインナップが少ないので、アダプターを使ってEF/EF-Sレンズを使うしかありません。
Rはα7IIIと比べてしまうと、スペック的にやや見劣りする部分があります。
そういった部分でRへの買い替えをちょっと考えてしまった時に、スペック的に割り切ったRPが低価格で発売されるので、上位機種が発売されるまでの繋ぎで購入する方もいるようですね。
キヤノンのショールームの方も言っていましたが、RPはフルサイズ版のEOS M5的な機種だと言っていましたから、今までにないカジュアルなフルサイズ機といった立ち位置のようです。
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